Kijoshu / Occasional
八塩折 — やしおり
大蛇に飲ませたと伝わる酒の名です。仕込み水の代わりに、前年の「粟島」を用いて醸します。毎年は造りません。
古事記に、須佐之男命が八岐大蛇に飲ませたという「八塩折之酒」が出てきます。八度も繰り返して醸した濃い酒、という意味だと伝えられています。
酒を仕込み水の代わりに使って、もう一度醸す ── いまでいう貴醸酒の造り方です。当社の「八塩折」は、前年の「粟島」を仕込み水の一部に用いて、二度重ねたもの。八度には遠く及びませんが、名前だけをお借りしました。
琥珀色をしていて、とろりと甘く、そのぶん酸も高く取ってあります。食後に、小さな杯で少しだけ。四銘柄とは別勘定の、番外の一本です。
- Rice
- 波郷錦契約農家四軒・100%
- Polishing
- 60%精米歩合
- Yeast
- 潮九号潮路県試験場分離
- Water
- 前年の「粟島」仕込み水の一部に用いる
- Alcohol
- 17度
- SMV
- −40日本酒度
- Acidity
- 3.2酸度
- Size
- 500ml / 180ml¥4,400 / ¥1,760 税込
Temperature
飲み方
よく冷やして、食後に少量。小さな杯で構いません。氷をひとつ落としても崩れない酒です。甘いので、食事に合わせるのには向きません。
Pairing
合わせたいもの
干柿、胡桃、羊羹。青かびのチーズにも負けません。粟島町では、寒に入ってから干柿と一緒に出すのが決まりのようになっています。
Name
名前のこと
八岐大蛇は、出雲の斐伊川の氾濫を蛇に見立てたものだ ── そういう読み方があります。八つの頭は、八つに分かれた流れのことだと。
粟島町にも似た言い方が残っていて、波郷川が荒れて谷の田を流した年を、土地の人は「川蛇(かわおろち)が出た」と言います。当社が「八塩折」を仕込むのは、その翌年です。搾った酒はまず少彦名社に供え、川に一合こぼしてから瓶に詰めます。
須佐之男命が大蛇に酒を飲ませたのと、同じ理屈のつもりです。造らない年のほうが多い酒ですが、それでいい。荒れない年が続くのが、いちばんいいのですから。